所得税の確定申告、お疲れ様でした。
膨大な領収書の仕分け、手入力での記帳作業、そして、申告期限に追われるあの緊張感。本業の合間に事務作業をする個人事業主の方にとっては、この確定申告の時期というのは、本当に大変な作業の連続だったと思います。
でも、実はその苦労の大部分は「クレジットカードを使った帳簿管理」に切り替えるだけで、大幅に楽になります。
この記事では、税理士の立場から、令和8年分の確定申告に向けて今すぐ取り入れられるクレジットカードを使った帳簿処理の方法をわかりやすく解説します。
来年の確定申告は、今年より格段にスムーズに終えましょう。
クレジットカードを利用して楽に経費処理をする
ここでは、改めて現金支払の領収書での記帳のデメリットとクレジットカード利用での記帳のメリットを比較し、さらに会計freeeとクレジットカードを組み合わせることによる経費処理のメリットを紹介します。
■ 現金払いの帳簿管理は手間がかかる
現金での経費支払いには、以下のような手間が発生します。
・支払いのたびに領収書・レシートを受け取る
・領収書を日付順・種類別に仕分けて保管する
・1枚ずつ手入力で帳簿に記録する ・紛失するリスクがある
・月末にまとめて処理すると入力ミスが増える
これらの作業を毎月繰り返すのは、本業に集中したい経営者にとって大きな負担です。
■ クレジットカードなら「いつ・何を・いくら」がデータで残る
クレジットカードを経費の支払いに使うと、利用したすべての履歴が自動的にデータとして記録されます。
具体的には、以下のことが可能になります。
・利用明細をCSV形式やPDF形式でダウンロードできる
・日付・店舗名・金額が一覧で確認できる
・利用明細データをそのまま帳簿作成に使える
手入力の手間がなくなるだけでも、記帳作業の時間は大幅に短縮されます。このメリットだけでもクレジットカードを事業用として準備しない手はないですね。
■ freeeと連携すれば自動で記帳が完了する
クレジットカードをクラウド会計ソフト「freee(フリー)」と連携させると、カードの利用明細が自動的にfreeeに取り込まれます。
流れはこうです。
カードで支払い → 明細データがfreeeに自動取込 → 勘定科目を確認・修正するだけ → 帳簿完成
※重要:freeeとの連携設定は初回だけ行えば、それ以降は自動で同期されます。毎月の記帳作業が確認作業だけになります。
一度設定してしまえば、領収書を1枚ずつ入力していた時間が、月に数十分の確認作業だけに変わります。これが、記帳の終着地点ですね。会計freeeとクレジットカードの連携による記帳・管理の工数削減の最大のメリットです。
実際に、会計freeeを使っていて感じることは、この自動でデータが会計に吸い上げられ、あとは登録作業をするだけで記帳が完了するということがとっても時短になるんですよね。入力作業での入力前の0と既にデータは連携されている1の状態では、圧倒的に記帳工数が削減され、身をもって実感できると思います。
まずは、事業用のクレジットカードの準備を進めてください。
また、会計freeeを試してみたいという方は、こちらから無料で導入を検討できます。初期費用なしで始められるので、まずは使い勝手を確かめてみてください。
クレジットカードでの帳簿管理(青色申告者向け)
この段落では、クレジットカードでの経費処理に興味を持ち、実際に取り入れようとしている方向けに、青色申告者の帳簿管理・記入方法を解説します。
■ 青色申告者がクレジットカードで経費を処理する仕訳方法
青色申告とは、複式簿記という方法で帳簿をつけることで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる申告方法です。既に確定申告を終えられている皆様にとっては、この記帳作業が大変だったと思います。
クレジットカードで経費を支払った場合、仕訳のタイミングは以下の2段階になります。
第1段階:カードで支払った日(購入日)
例)交通費5,000円をカードで支払った場合:
借方 旅費交通費 5,000円 / 貸方 未払金 5,000円
「未払金」とは、カード会社への支払いがまだ済んでいない状態を表す勘定科目です。
第2段階:口座からカード引き落としがあった日
例)口座から5,000円が引き落とされた場合:
借方 未払金 5,000円 / 貸方 普通預金 5,000円
この2段階の仕訳を行うことで、経費の発生時期と実際の支払い時期を正確に記録できます。
■ freeeを使った場合の処理
freeeとクレジットカードを連携している場合、上記の仕訳は自動で作成されます。
必要な作業は以下だけです。
・取り込まれた明細の勘定科目を確認する
・「交際費」「消耗品費」など、正しい科目になっているか確認する
・プライベートな支出が混入していた場合は削除または「事業主貸」に変更する
■ よく使う勘定科目の一覧
クレジットカードで払うことが多い経費の勘定科目をまとめます。
・交通費(電車・バス・タクシー) → 旅費交通費
・出張時の宿泊費 → 旅費交通費
・取引先との飲食代 → 交際費
・文房具、備品(10万円未満) → 消耗品費
・携帯電話、インターネット料金 → 通信費
・ガソリン代 → 車両費または旅費交通費
・書籍・セミナー代 → 研修費または新聞図書費
・ソフトウェア利用料などのサブスクリプション → 通信費
クレジットカードでの経費計上における注意点
■ 明細データがあっても領収書は絶対に破棄してはいけない
クレジットカードの利用明細があれば、レシートや領収書は捨ててよいと思っている方がいますが、これは絶対に避けてください。
理由は2つあります。
理由①:経費として認められるための証拠書類として
税務調査の際、「何のための支出か」を証明するには領収書・レシートが必要です。カードの明細には「〇〇スーパー 3,500円」と記載されていても、それが事業用の備品購入なのか、個人的な買い物なのかは明細だけでは判断できません。
※重要:領収書・レシートには「何を」「誰のために」購入したかが記録されており、事業関連支出であることを証明する唯一の書類です。
理由②:消費税の仕入税額控除のために
消費税を納める事業者(課税事業者)の方は、「仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)」を受けるために適格請求書(インボイス)または領収書が必要です。
カードの明細には消費税の記載がないため、仕入税額控除の証拠書類としては使えません。インボイス制度(令和5年10月開始)に対応した領収書・レシートが必要です。
※重要:消費税の申告が必要な方は、領収書の保管を徹底してください。
■ 領収書の保管期間
法人:原則7年間(欠損金がある場合は10年間) 個人事業主:原則5年間(青色申告の場合は7年間)
クレジットカードは事業用を作ろう
■ 個人用カードを事業に使うと管理が複雑になる
個人用のクレジットカードで事業の経費も支払うと、以下の問題が発生します。
・プライベートの支出と事業の支出が混在する
・freeeなどに取り込んだ明細を1件ずつ確認し、事業関係かどうか判断する必要がある
・「楽に管理できる」というクレジットカード管理の最大のメリットが失われる
・帳簿記入の際のプライベートと事業の区別する工数が増える
例)個人用カードで1ヶ月に50件の明細がある場合
個人用クレジットカードの利用明細のうち事業関連は20件だとすると、残り30件を毎月確認・除外する作業が発生します。これでは現金管理と手間はほとんど変わりません。
■ 事業用カードを1枚作るだけで管理が劇的に楽になる
事業専用のクレジットカードを1枚作ることで、以下のメリットがあります。
・カードの明細イコール事業の経費と判断できる
・freeeに取り込んだデータをほぼそのまま使える
・プライベートとの区別が明確になり、税務調査でも説明しやすい
・経費管理の精度が上がり、節税漏れを防げる
■ 個人事業主向けの事業用カードの選び方
事業用カードを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
・年会費が無料または低コストである
・利用明細のCSV出力やfreeeとの連携に対応している
・よく使う店舗(コンビニ・飲食店など)でポイント還元率が高い
・審査が個人事業主でも通りやすい
年会費が永年無料で、対象のコンビニ・飲食店などでのスマートフォンのタッチ決済で最大7%のポイント還元が受けられるカードは、経費の支払いに使いやすい選択肢のひとつです。
→【事業用カードの詳細・申込はこちら】
記帳の自動化をすぐに始めたい方には、freee会計の導入がおすすめです → クレジットカードとの連携設定は初回のみ。あとは明細が自動で取り込まれ、確認するだけで帳簿が完成します。
まとめ
・クレジットカードで経費を支払うと、利用明細のCSV・PDF出力やfreeeとの自動連携で記帳が大幅に楽になる
・青色申告者は「購入日」と「引落日」の2段階で仕訳を行う
・カードの明細データがあっても領収書・レシートは必ず保管する(経費の証明・仕入税額控除のため)
・個人用カードと事業用カードを混在させると管理の手間が増え、クレジットカード管理のメリットが失われる
・今すぐ事業専用のクレジットカードを1枚作り、令和8年分の確定申告をスムーズに乗り切りましょう
確定申告の記帳作業を楽にするために、まずは事業用カードを1枚作ることから始めてみてください。クレジットカードでの帳簿処理の方法について不安なことがあれば、ぜひSTARUP会計事務所へお気軽にご相談ください。
本記事は情報提供を目的としており、個別の税務相談は税理士にご確認ください。
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出典
・帳簿の記帳方法について 国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
・仕入税額控除について 国税庁 インボイス制度の概要
この記事の著者
税理士 関 伸也(せき しんや) STARUP会計事務所
東京都江戸川区西葛西を拠点に、中小企業・個人事業主の税務・会計をサポート。税務顧問・確定申告・節税対策・相続税・クラウド会計(freee対応)など幅広く対応。「税務を、一人で悩まない。」をモットーに、税理士が直接対応する地域密着型の会計事務所として2019年に開業。ChatworkおよびSlackによるチャット対応も行っている。
