中古車や中古の備品を購入したとき、「耐用年数は新品と同じ法定耐用年数でいいのだろうか?」と迷ったことはありませんか。
新品の資産と違い、これら中古資産の耐用年数は単純に法定耐用年数を使うと経費計上額が変わるため、税額に影響が出ます。
この記事では、中古資産の耐用年数の計算方法を、具体的な数字を使ってわかりやすく解説します。
中古資産の減価償却とは?基本を押さえよう
減価償却とは何か
減価償却とは、購入した資産の取得費用を、使用期間にわたって少しずつ経費に計上する仕組みです。
例えば、100万円の機械を5年で使い切る場合、毎年20万円ずつ経費に計上します。一度に100万円を経費にするのではなく、分割して経費計上するのが減価償却の考え方です。
中古資産は耐用年数が変わる
新品の資産には、税法で定められた「法定耐用年数」があります。しかし、中古資産の場合は、すでに一定期間使用されているため、残りの使用可能期間に応じた耐用年数を使います。
※重要:中古資産の耐用年数は、原則として「見積もり」で求めます。ただし、見積もりが難しい場合は「簡便法」という計算方法を使います。
中古資産の耐用年数の計算方法
原則:見積もり法
本来は、その中古資産があと何年使えるかを専門家などが見積もって耐用年数を決めます。ただし、実務では見積もりが難しいことの方が多いため、後述の簡便法を使うのが一般的です。
簡便法の2つのケース
簡便法には、購入した中古資産の「経過年数」に応じて2つの計算式があります。
ケース①:法定耐用年数をすべて経過した資産の場合
計算式:法定耐用年数 × 20%(端数は切り捨て、最低2年)
例)法定耐用年数が10年の備品を、10年以上経過後に購入した場合
10年 × 20% = 2年 → 耐用年数は2年
ケース②:法定耐用年数の一部を経過した資産の場合
計算式:(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数 × 20%)
例)法定耐用年数が10年の備品を、4年経過後に購入した場合
(10年 − 4年)+(4年 × 20%)= 6年 + 0.8年 = 6.8年 → 端数切り捨てで耐用年数は6年
中古車を購入した場合の具体例
法人・個人事業主が中古車を購入したケース
中古資産の耐用年数の計算でよく使われる例が「中古車」です。
普通自動車の法定耐用年数は通常6年です。この前提で計算してみましょう。
購入した中古車の経過年数が3年の場合: (6年 − 3年)+(3年 × 20%)= 3年 + 0.6年 = 3.6年 → 端数切り捨てで耐用年数は3年
購入した中古車の経過年数が6年以上の場合: 6年 × 20% = 1.2年 → 端数切り捨てで1年は認められないため最低2年
計算した耐用年数の端数処理と最低年数
端数は切り捨て
計算結果に1年未満の端数が出た場合は切り捨てます。
例:3.6年 → 3年
最低耐用年数は2年
計算の結果が2年未満になった場合でも、耐用年数は最低2年となります。
1年という耐用年数は認められていません。
簡便法が使えないケース
以下の場合は、新品同様の物を購入したとみなされ、簡便法が使えず、新品の法定耐用年数となります。
・資産の購入価格が再取得価額(新品で取得した場合の価格)の50%を超える場合
・中古資産を大規模に改良・修繕した場合
※重要:改良や修繕を加えた資産は「新品同様」とみなされることがあるため、注意が必要です。
実務での注意点
耐用年数の根拠を書類で残す
中古資産の耐用年数を簡便法で計算した場合は、その根拠となる「経過年数の確認資料」を保管しておくことが重要です。
具体的には以下のような書類が該当します。
・車検証(自動車の場合は初度登録年月で経過年数を確認) ・売買契約書や請求書 ・製造年が確認できるカタログや仕様書
固定資産台帳への記載
取得した中古資産は、固定資産台帳に記録します。
耐用年数・取得価額・取得日・償却方法を正確に記入しましょう。記載漏れがあると、税務調査で指摘されるケースがあります。
消費税と取得価額の関係
消費税の経理処理方法(税抜き・税込み)によって、固定資産の取得価額が変わります。取得価額が変わると減価償却費も変わるため、経理処理の方法を統一しておくことが大切です。
まとめ
・中古資産の耐用年数は、法定耐用年数をそのまま使わず「簡便法」で計算する
・法定耐用年数をすべて経過した資産は「法定耐用年数 × 20%」で計算
・一部経過した資産は「(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数 × 20%)」で計算
・計算結果の端数は切り捨て、最低耐用年数は2年
・経過年数の根拠となる書類は必ず保管しておく
中古資産の耐用年数の計算は、一見複雑に見えますが、簡便法を使えば手順通りに計算できます。計算方法に不安がある場合や、改良・修繕を加えた資産の取り扱いについては、税理士へのご相談をおすすめします。
STARUP会計事務所では、減価償却に関するご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。
本記事は情報提供を目的としており、個別の税務相談は税理士にご確認ください。
出典
中古資産の耐用年数・簡便法の根拠 国税庁 No.5404
減価償却の基本的な仕組みの根拠 国税庁 No.2100
法定耐用年数の確認(耐用年数表)国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数表」
この記事の著者
税理士 関 伸也(せき しんや) STARUP会計事務所
東京都江戸川区西葛西を拠点に、中小企業・個人事業主の税務・会計をサポート。税務顧問・確定申告・節税対策・相続税・クラウド会計(freee対応)など幅広く対応。「税務を、一人で悩まない。」をモットーに、税理士が直接対応する地域密着型の会計事務所として2019年に開業。ChatworkおよびSlackによるチャット対応も行っている。
