先行きが暗く、自身の老後の貯蓄をどうにかしたいけど、何をしたらいいのかわからないという方は、この記事を読んで、すぐにでも自身の証券口座等でiDeCoを少額からでもスタートしましょう。
資産形成に「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」を活用したいけれど、仕組みがよくわからないという方は多いのではないでしょうか。
iDeCoは掛金が全額所得控除になるだけでなく、運用益も非課税という強力な節税制度です。さらに令和8年には大きな制度改正が行われています。
この記事では、iDeCoの基本的な仕組みから節税の「入口」と「出口」、そして令和8年改正のポイントまでをわかりやすく解説します。
iDeCoとは?基本の仕組みをおさらい
■ iDeCoの概要
iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」の愛称です。自分で掛金を積み立て、運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金の制度です。
国の制度でありながら、運用方法や受取時期は自分で選べる点が特徴です。
■ 誰でも加入できる?
現在、以下の方が加入できます。
・自営業者・フリーランス(国民年金第1号被保険者):20歳以上60歳未満
・会社員
・公務員(国民年金第2号被保険者):20歳以上65歳未満
・専業主婦、主夫(国民年金第3号被保険者):20歳以上60歳未満
※重要:令和8年12月の改正により、加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられます。60代でも積み立てながら節税できるようになります。
■ 最低掛金はいくらから?
月額5,000円から始められます。1,000円単位で自由に設定でき、途中での変更も可能です。
入口のメリット:掛金が全額所得控除になる
■ 所得控除の節税効果
iDeCoの最大の魅力は、毎月の掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれることです。
例)年収500万円の会社員(税率20%)が月2万3,000円を拠出した場合:年間掛金:276,000円
所得税の節税額(税率10%):27,600円
住民税の節税額(税率10%):27,600円
年間節税合計:55,200円
25年間継続すると、節税効果だけで約138万円になる計算です。
■ 運用益も非課税
通常、株式や投資信託の運用益には約20.315%の税金がかかります。しかしiDeCoの運用益は非課税で再投資されます。長期運用になるほど、この恩恵は大きくなります。
■ 確定申告での手続きは?
会社員の場合は年末調整で手続きができます。個人事業主の場合は確定申告の「小規模企業共済等掛金控除」欄に記入するだけです。毎年10月ごろに金融機関から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付します。
関連記事:小規模企業共済による節税・資産形成についてはこちら
出口のメリット:受取時も税制優遇がある
■ 受取方法は3種類
iDeCoの受取方法は以下の3つから選べます。
・一時金(一括受取) → 退職所得として課税(税負担が軽い)
・年金(分割受取) → 公的年金等の雑所得として課税
・一時金と年金の併用 → 上記の組み合わせ
■ 一時金受取は退職所得控除が使える
一括で受け取る場合は「退職所得」として扱われます。退職所得控除額の計算式は以下のとおりです。
・加入年数20年以下:40万円 × 加入年数(最低80万円)
・加入年数20年超:800万円 + 70万円 × (加入年数 − 20年)
例)30年間加入した場合の退職所得控除額: 800万円 + 70万円 × (30年 − 20年)= 1,500万円
この金額以下であれば税金はかかりません。
■ 年金受取は公的年金等控除が使える
分割で受け取る場合は「公的年金等の雑所得」として扱われます。65歳以上であれば年間110万円まで非課税で受け取れます。
令和8年の大改正:ここが変わる
令和8年(2026年)にiDeCoの制度が2段階で改正されます。
■ 令和8年4月施行:マッチング拠出の制限撤廃
企業型確定拠出年金のマッチング拠出(従業員が自分で上乗せして拠出できる制度)において、「事業主の掛金を超えてはいけない」という上限制限が撤廃されます。会社の掛金より多く自己負担できるようになるため、節税効果を高めやすくなります。
■ 令和8年12月施行:掛金上限の大幅引き上げ
※重要:これが最大の改正ポイントです。
会社員・公務員(企業年金なし)の掛金上限が現行の月2万3,000円から月6万2,000円へ約2.7倍に引き上げられます。
改正後の掛金上限(月額):
・自営業者・フリーランス:6万8,000円 → 7万5,000円
・会社員・公務員(企業年金なし):2万3,000円 → 6万2,000円
・専業主婦・主夫:2万3,000円(変更なし)
・加入可能年齢:65歳未満 → 70歳未満に引き上げ
例)改正後に月6万2,000円を満額拠出した場合(税率20%):年間掛金:744,000円
年間節税合計:148,800円
改正前と比べて年間約9万3,600円も節税額が増えます。
出口の注意点:令和8年1月から10年ルールに変更済み
※重要:令和8年(2026年)1月1日以降にiDeCoを受け取った分から、退職所得控除の重複ルールが変更されています。
■ 5年ルールから10年ルールへ
以前のルール(5年ルール): iDeCoを一時金で受け取った後、5年以上経過すれば退職金にも退職所得控除をフルに適用できました。
改正後のルール(10年ルール): iDeCoを一時金で受け取った後、退職金に退職所得控除をフルに適用するには10年以上あける必要があります。
■ 具体的な影響のケース
例)60歳でiDeCoを一時金受取 → 65歳で退職金を受取る場合: 5年しか経過していないため、退職金の控除額がiDeCoで使った控除分だけ減額される可能性があります。
■ 対応策として考えられる方法
・iDeCoの受取を後ろ倒しにして10年以上間隔を確保する
・iDeCoを一時金ではなく年金で受け取り、退職所得控除を退職金に温存する
・退職金を先に受け取り、その後10年以上あけてiDeCoを一時金で受け取る
関連記事:小規模企業共済の受取時の注意点(出口戦略)についてはこちら
まとめ
・iDeCoの掛金は全額所得控除になり、運用益も非課税という強力な節税制度
・受取時は退職所得控除(一時金)または公的年金等控除(年金)が使える ・令和8年12月から会社員の掛金上限が月2万3,000円から6万2,000円に大幅引き上げ
・令和8年1月以降は退職所得控除の重複ルールが5年から10年に変更済み
・受取の順番・時期によって税負担が大きく変わるため事前の検討が重要
iDeCoは入口と出口の両方で税制優遇が受けられる、老後の資産形成において非常に有利な制度です。
ただし、受取時の戦略を誤ると想定外の税負担が発生することもあります。ご自身の状況に合わせた最適な活用方法については、ぜひSTARUP会計事務所へお気軽にご相談ください。
本記事は情報提供を目的としており、個別の税務相談は税理士にご確認ください。
出典
・iDeCoの所得控除について国税庁 小規模企業共済等掛金控除 No.1135
・退職所得控除の計算方法について国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき
・iDeCo制度の概要 厚生労働省 iDeCo公式サイト
・令和8年改正の概要 厚生労働省 私的年金制度 iDeCoの制度改正
この記事の著者
税理士 関 伸也(せき しんや) STARUP会計事務所
東京都江戸川区西葛西を拠点に、中小企業・個人事業主の税務・会計をサポート。税務顧問・確定申告・節税対策・相続税・クラウド会計(freee対応)など幅広く対応。「税務を、一人で悩まない。」をモットーに、税理士が直接対応する地域密着型の会計事務所として2019年に開業。ChatworkおよびSlackによるチャット対応も行っている。
