日本政策金融公庫での創業融資を説明する上での建物

「起業はしたいが、もっと手元に資金があればなぁ…」と感じたこと又は現在お悩みではありませんか?

法人を設立してスタートする際、手元資金が足りずにスピード感ある事業展開をためらってしまう経営者は少なくありません。
そんな悩みを解決してくれるのが、日本政策金融公庫の創業融資制度です。

この記事では、税理士として自ら融資を経験した立場から、申込の流れ・必要書類・審査のポイントをわかりやすく解説します。
読み終わると、創業融資の全体像と次にやるべきことが明確になります。

 

日本政策金融公庫の創業融資とは?2024年に制度が大きく変わりました

「新創業融資制度」は廃止。現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」が窓口

2024年3月31日をもって、これまで多くの創業者が利用していた「新創業融資制度」は廃止となりました。
現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」が創業融資の主な窓口です。
さらに2025年3月には名称も正式に統一され、スタートアップ企業も明確に対象として位置づけられています。

「制度が廃止された」と聞くと不安になる方もいるかもしれません。
しかし実際は、改正によって創業者にとって使いやすい内容に進化しています。

2024年の改正で何が変わったか

新制度の主な変更点をまとめます。

・自己資金要件の撤廃
 旧制度では「融資額の10分の1以上の自己資金」が原則必要でした。
 現在はその要件がなくなり、自己資金が少なくても申込が可能になりました。

・融資限度額の大幅拡充
 旧制度の上限(3,000万円)から最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)に拡大されました。

・無担保・無保証のまま利用可能
 担保や保証人を用意しにくい創業期でも申込しやすい体制は維持されています。

※重要:融資限度額はあくまで上限です。実際の融資額は審査の結果によります。

民間銀行との違いはどこ?

創業期は実績や信用が乏しいため、民間金融機関からの融資を受けることは容易ではありません。
日本政策金融公庫は、政府系金融機関として中小企業・個人事業主の支援を目的としています。
そのため、創業間もない方でも相談しやすく、金利も比較的低水準に抑えられています。

返済方法は原則として固定金利・元金均等返済(毎月の元金が一定)です。
返済のたびに借入残高が減るため、支払利息も月を追うごとに少なくなっていきます。

 

 

創業融資の申込ステップを徹底解説

日本政策金融公庫での創業融資を説明する看板

ステップ① まずは公庫へ相談する(1日目)

最初から自力でネットで情報収集しすぎる必要はありません。
実際に相談の場に入ってしまうほうが、次のやるべきことや解消できる悩みが早期にわかります。

相談方法は2つあります。

・電話相談:事業資金相談ダイヤル 0120-154-505(平日9〜19時)
 → 音声ガイダンス後「0」を選択すると創業ホットラインにつながります。
・予約相談:公庫の各支店・スタートアップサポートプラザで直接相談

私自身は仕事柄、担当者と顔なじみだったため電話一本でスムーズに話が進みました。
初めての方でも、担当者は手慣れていますので、込み入った相談も丁寧に対応してもらえます。

ステップ② 申込書類を準備する(2日目)

相談後、担当者の指示に従って書類を準備します。
基本として必要な書類は以下の2点です。

・借入申込書
 個人情報・融資希望額・事務所所在地などを記載します。

・創業計画書
 事業主の略歴・事業の展望・得意先・必要資金の内訳と調達方法を記載します。

※記入書類は日本政策金融公庫の公式ホームページからダウンロードできます。

創業計画書は最初は取っつきにくく感じるかもしれません。
しかし、起業への熱意と事業の具体的なイメージを素直に書き込めば、必要な情報は自然と整理されます。

関連記事:創業計画書の書き方・記載例についてはこちら

ステップ③ 申込書類を提出する(3日目)

2つの書類が準備できたら、融資の6割は完了です。
提出後は担当者が審査を進めますので、約1週間待ちます。

ステップ④ 面談を受ける(13日目)

提出からおよそ1週間後に面談が行われます。
以下の書類を持参してください。

・通帳(直近数か月分)
・証券の特定口座の写し
・奨学金残高の確認できる書類(該当者のみ)
・クレジットカード明細の写し

面談では申込書類の確認と融資金額の詳細を話し合います。
私の場合は、現状の得意先数・資金状況・融資希望額を中心に話し、スムーズに終わりました。
面談後、「後日書類を郵送するので返送してください」と案内されます。

 

日本政策金融公庫での創業融資手続きによる返送書類

ステップ⑤ 融資書類を返送する(23日目)

面談からさらに1週間ほどで、上記画像の融資書類封筒が自宅に届きます。
封入されている書類は以下の通りです。

・融資金額の通知書
・返済振替口座の設定書類
・融資申請書(実印を押す箇所は鉛筆でわかりやすく示してあります)

以下を添付して、同封の返送封筒で簡易書留にて郵便窓口から返送します。

・印鑑証明書
・通帳の写し

書類が到着してから3日後に、予定通り着金が確認できました。

関連記事:法人設立・会社設立の流れと税務手続きについてはこちら

融資審査を通過するためのポイント

創業計画書の完成度が合否を左右する

審査において最も重要なのが、創業計画書の内容です。
事業の強み・競合との差別化・売上見込みの根拠を具体的に記載できているかが評価のポイントです。

曖昧な表現より、具体的な数字や実績・裏付けのある見込みを示すことが大切です。

自己資金は多いほど有利

自己資金の要件は撤廃されましたが、自己資金が多いほど審査において有利に働きます。
目安として、融資希望額の30%程度の自己資金があると、計画の信頼性が高まります。

例)融資希望額500万円の場合:自己資金の目安は約150万円

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、
開業時の資金調達額の平均は1,219万円。
そのうち金融機関からの借入が平均827万円(約67.9%)、自己資金が平均279万円(約22.9%)となっています。

税理士に相談するメリット

融資申込は自力でも可能ですが、税理士など専門家のサポートを受けることで、
事業計画書の説得力が上がり、審査がスムーズに進む可能性が高まります。
特に初めて融資を申し込む方には、専門家への相談をおすすめします。

※重要:融資額は自己資金の状況・事業計画の内容・審査の結果によって異なります。

 

女性・若者・シニアは優遇制度を確認しよう

特別利率で借りられる可能性がある

以下に該当する方は、通常より低い金利(特別利率)での融資を受けられる可能性があります。

・女性の方
・35歳未満の方
・55歳以上の方
・廃業歴があり再チャレンジで創業する方

さらに、地方移住を伴う創業(Uターン等)の場合は、特別利率Cが適用される場合があります。

特定創業支援等事業を活用する

市区町村が実施する「特定創業支援等事業」を受講・修了すると、
「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」に関する知識を習得できるとともに、
融資の際に有利な条件が適用される場合があります。

お住まいの市区町村の窓口やよろず支援拠点で確認してみてください。

 

実際に融資を受けてみて感じたこと

「難しそう」は思い込みだった

私自身が創業融資を初めて経験して強く感じたことは、想像よりはるかにスムーズだったということです。
担当者は親切で、書類の記載箇所も丁寧に案内してくれます。
「融資は敷居が高い」というイメージは、一歩踏み出してみると消えていきました。

スタートダッシュに融資を活用する意義

古今東西、事業のスタートダッシュを決める重要性は変わりません。
自己資金だけで慎重に進めるより、適切な資金を調達してスピード感をもって展開するほうが、
競合との差をつけるチャンスが広がります。

創業期の資金調達は「怖いもの」ではなく、事業を加速させる「手段」です。
まず一歩、相談の電話を入れることから始めてみてください。

 

まとめ

・2024年3月に「新創業融資制度」は廃止。現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」が窓口。
・自己資金要件は撤廃され、融資限度額は最大7,200万円に拡充されました。
・申込の流れは「相談→書類準備→提出→面談→書類返送→着金」の約23日間。
・審査の鍵は創業計画書の完成度と自己資金の状況です。
・女性・若者・シニアは特別利率の優遇制度を活用できる可能性があります。

創業融資についてご不明な点やご不安なことがあれば、STARUP税理士事務所にお気軽にご相談ください。
まずはお気軽にご相談ください。

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別の融資相談・税務相談は税理士・日本政策金融公庫にご確認ください。
制度の内容は変更される場合があります。最新情報は公式サイトにてご確認ください。

出典

日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金

日本政策金融公庫 借入申込書・創業計画書(ダウンロード)

日本政策金融公庫 2025年度新規開業実態調査

日本政策金融公庫 事業資金用 返済シミュレーション

中小企業庁 特定創業支援等事業

この記事の著者

税理士 関 伸也(せき しんや)
STARUP税理士事務所

東京都江戸川区西葛西を拠点に、江戸川区・江東区・浦安・市川エリアの中小企業・個人事業主の税務・会計をサポート。
税務顧問・確定申告・節税対策・相続税・クラウド会計(freee対応)など幅広く対応。
「税務を、一人で悩まない。」をモットーに、税理士が直接対応する地域密着型の税理士事務所として2019年に開業。
オンライン・対面いずれにも対応。ChatworkおよびSlackによるチャット対応も行っている。